ストーブ

 人口減少時代とコロナ禍がもたらす近未来の社会変化に対
して、コーチングができること、何が貢献できるか、につい
て考えてみたいと思います。
少し長いので3回に分けて掲載します。

1、未来は創造するもの

 現代は歴史的な転換点を迎えていると言われます。私たち
の社会は1950年代から始まる高度経済成長期に匹敵する、
少なくとも50年に一度程度の大きな社会的歴史的変化(パラ
ダイムシフト)を迎えるのかもしれません。

 高度経済成長期に起きた様々な社会変化を思い起こして
みると・・・、人口の急増、都市への人口大移動、急速な
工業化と環境問題、大企業サラリーマン社会の成立、進学
競争、大量生産と大量消費の時代・・・。人々の生活意識や
価値観、消費行動はそれまでと比べて様変わりでした。

 「高度経済縮小期」の近未来には、人口増減のベクトルは
正反対ですが、これに匹敵する大きな社会変化が起きること
が予想されます。 今年はこれにコロナ禍が加わり、「人と人
の分断」という困難を人類に突き付けています。

   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   

 コーチングは対話によってひとの自発性を引き出し、能力
を高める技能です。単なるスキルに過ぎないのですが、人口
が減少して「ひと」の価値が相対的に高まってくる今日、
そしてコロナ禍によって「人と人との分断」を余儀なくされ
ている現代において、コーチングの持つ可能性をもう一度
見直すことが有益ではないか。そう思うようになりました。

 コーチングはひとの存在を認め、ひとの可能性を信じ
ます。ひとの能力を引き出します。「人間力(=自己基盤)
という力でひとを分断から救い出し、温かく包むことが
できます。
「高度経済縮小期」、そしてコロナ禍の現代にあって、もし
未来を切り拓く力人間にあるとすれば、コーチングはその力
のひとつになり得るのではないか。
そんな風に考え始めています。

「未来は予想するものではない。創造するものである」

 ある賢者の言葉です。手を拱いて待つのでなく、勇気を
もって取り組んでみることが求められているのです。
 未来は既にそこまで来ています。

  未来にはどんな問題や課題があるのでしょうか。 それを
探るなかに、コーチングの果たすべき貢献の姿が現れて来る
はずです。
次章では未来の課題について具体的に探っていきます。

(2002.12.09)