<生産性が低い日本>
日本の労働生産性(一人当たりの付加価値)は824万円で、OECD36か国中21位です。(2018年) GDPが日本は世界3位であることを考えると、確かに生産性の低さが目立ちます。
生産性とは”一人当たりのGDP”のことで、次の式で表現できます。
総人口 X 一人当たり生産性 = GDP(経済の付加価値)
日本の総人口は今後40年で約3千万人、26%減少する予測です。もし生産性が一定だと仮定するとGDPは同じ比率
(26%)だけ減少することになります。
GDPとは国の収入ですから、国が貧しくなることを意味
します。特に日本は巨額の債務(1,200兆円、GDPの2倍)
を抱えている現状では、収入(GDP)額が減少することは、
財政上危険なことと言わざるを得ません。
生産性の向上は私たちだけでなく、未来の日本社会の
ためにも必須の選択ではないでしょうか。
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<解決への道筋>
では、どうすれば生産性を高めることができるのか。
第一に私たち日本人の生産性に対する「誤解」を解くことから始める必要があります。
「良いものをより安く」ということが長年の日本企業のビジネスモデルであり、成功体験でした。しかしこれは人口増加だった高度経済成長期の労働集約型モデルでした。
これからの人口減少時代には、「良いものを高く」という付加価値を高めるモデルに切り替えていく必要があります。
ドイツは日本と同じく製造業中心の経済ですが、生産性は日本の1.5倍です。ドイツでは労働時間が短くて付加価値が高いのです。その秘密はドイツの企業は品質が高く、世界のニッチ市場向けのビジネスに優位性があるのです。
ドイツのように高品質のグローバルニッチ市場を目指す経営に転換することで、生産性は格段にあがることでしょう。
日本は世界4位の高い人材の質を持っています。人材を育成し能力を伸ばしていくことで生産性は上がります。短い労働時間で効率よく仕事することが出来れば、生産性が改善するばかりでなく、人々がもっと豊かな人生を得ることができるでしょう。
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年率で1.7%づつ生産性が改善出来れば、20年後には世界でトップレベルの生産性の高い国になれる、という試算があります。簡単ではないでしょうが、まず第一歩を踏み出してはどうでしょう。舵を切ってみることです。
生産性を上げる方法はいくつも挙げることができます。
しかし、それを実行していくことには様々な壁が存在しています。 どうしたら実際に、企業の職場で生産性を上げていくことができるのか。
その問題については、回を改めて考えてみたいと思います。
(2020.3.25)
参考文献
「新生産性立国論」D.アトキンソン 2018年東洋経済新報社
「なぜ日本の会社は生産性が低いのか?」熊野英生 2019年文藝春秋