「老後を豊かに過ごしたい」というのは、定年退職者
にとっての一大テーマです。しかも人生100年時代と
言われる今日、これは現役のサラリーマンにとっても
他人事ではなく、早晩考えておくべき課題でしょう。
「豊かな老後生活」を送るための3つの条件
というものを考えてみました。
1、好きなことを仕事とすること
2、上質の人間関係を持つこと
3、ポリシーを持つこと
以下にひとつづつ取り上げてみたいと思います。
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<1、好きなことを仕事にすること>
好きなことを仕事にして、できれば年収2百万円以上稼ぐ
ことです。定年後でもまだ仕事?と不満な声があがりそう
ですね。
長寿時代の今日、年金だけに頼る生活設計はリスクが
高すぎます。せっかく会社人生から自由なったのですから、
ここは独立自営の仕事を見つけたいものです。
なによりも仕事は老後生活の経済基盤を安定させて
くれます。それに加えて、仕事を通じて社会に役立つ
ことができ、精神的にも安定するのです。「生きがい」
ですね。
与えられた才能を生涯でフルに活かし切り、世の中に
貢献できれば素晴らしい「豊かな」人生と言えるでしょう。
老後の仕事とは、「お金儲け」ではありません。相手を
思いやり、サービスを提供し、対価を得、感謝する、
という心と心の交感であると思います。
焦らずにゆっくりと時間を掛けながら、好きなことを
仕事に変えていくことが大切です。
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<2、上質な人間関係を持つこと>
豊かな老後、とは幸福感です。幸福の条件とは
何でしょうか?
ハーバード大学で実施された高齢者たちの長期の
研究調査によれば、最も元気で幸福な老人たちの
共通点は「上質の人間関係」だったそうです。
老人の孤立や孤独死が社会問題になっています。
会社組織を離れた途端、組織人はひとりの個人に
戻ります。老後に「上質の人間関係」を築き上げる
ためには、一定のコミュニケーション能力を身につける
ことが大事です。
私たち日本人は、特に男性はコミュニケーション能力
は決して高いとは言えません。企業はせめて50代の
うちに定年前研修の一環として、コミュニケーション
訓練を取り入れるべきではないでしょうか。
老年期を豊かにするには、まず夫婦、家族、そして
友人たちとの関係を安定したものにすることです。
そしてぜひ新しい友人や仲間を作っていきましょう。
それはあなたの心を外に向かって開き、新しいことに
チャレンジすることを可能にするのです。
心おきなく語れる友人、年齢に関係なく付き合える
人々が周囲にいてくれることは、あなたの人生を
間違いなく豊かなものにしてくれるでしょう。
そのための武器がコミュニケーション能力なの
です。
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<3、ポリシーを持つこと>
定年後には誰でも孤独感を味わいます。長年勤めた
会社を離れてみて初めて感じる疎外感・・・。
でもひとは基本的に孤独な存在です。自分の人生は
誰のものでもない自分だけのものだ、と悟るとき、孤独
は決して悪いことではないことに気づくでしょう。
自らの足でしっかりと大地を踏みしめて立つこと。
つまり自立心を持って生きることが人生の基本です。
特に定年後にはひとりの個人に戻る訳ですから、より
強い自立心が求められるのです。
自立心を強化する方法のひとつが、自分なりの
ポリシーを持つ、ということなのです。
ポリシーとは生きる指針のことです。
価値観、人生観、世界観、志・・・などと言い換えても
いいでしょう。
誰か著名人の名言でも構いません。大事なのは、
自分の腑にストンと落ちる言葉であることです。
「ひとのために尽くす」、などもいいですが、
もっと具体的に何をするかに踏み込んだほうが
明確な指針となります。
自らの長所や欠点をしっかり認め、人生の経験者
としての人生観なり世界観を踏まえたポリシーを
備えれば、それがぶれない自分軸となるのです。
孤独を恐れず、与えられた人生を静かに受け入れ
て前に進む強い精神力の持ち主を、賢者と呼んでも
よいでしょう。
ポリシーを持つことで、自分らしい一貫した姿勢を
とることができます。毅然とした生き方は周囲の人々
に良い影響を与え、ただの老人ではなく、賢者として
尊敬を集める存在となりましょう。
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有名な「幸福論」の著者ヒルティは、「仕事を通して
社会に役立てる人生を生きよう」、と述べています。
生涯現役で生きられるとしたら、それは素晴らしい
人生だと思います。
「豊かな老後」のイメージはひとによって異なること
でしょう。上記に掲げた条件を参考にして自分らしい
豊かさを構想して頂ければ幸いです。
(2018年1月25日)