16-7ひととき
 電車に乗っていて、あたりを見回して唖然と
しました。目に入る乗客のほとんどがスマホや
携帯の画面に没頭していたのです。
寸暇を惜んでまでも誰かと繋がっていたいので
しょうか。

 現代人は孤独を恐れているようです。
ひとりで行動したり、他人と違う意見をもったりする
ことを、何か格好の悪いこと、罪悪のように感じて
います。だからネットやラインで常に誰かと繋がって
いたい、という思いに駆られるのでしょうか。
私には、違和感があります。

 ひとは孤独でこの世に生まれ、孤独でこの世を
去る存在です。孤独でいてこそ自由に考え、自由に
行動することができます。
そもそも他者としっかりチームワークをとるためには、
自分が堅固でなければならないのです。
弱い人間の集まりでは弱いチームにしかならない
のですから。

 孤独を恐れていてはいけません。むしろ自分と
向き合い、自分自身でいることは、現代を生きるうえ
で大切なことではないでしょうか。

ではどうしたらいいのか?
孤独力を鍛えるのです。アスリートが筋肉トレーニング
で筋力をつけるように、現代に生きる私たちは孤独力
を鍛える必要があるのです。

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 孤独力を鍛える第一歩は、インターネットへの依存を
断ち切ることです。現代は情報時代であると言われま
すが、余にも簡単に情報が手に入るため、自分で思考
する力が衰えてしまいます。車に依存し過ぎると、足腰
の筋肉が衰えるのと同じです。
 ネット依存の人々は、なぜか金太郎あめのように同じ
意見に偏っており、個人の個性や創造性が感じられない
のです、

 インターネットに限りません。テレビやPCの画面を
眺めている時間もつい長くなりがちです。情報収集の
時間はほどほどにしてスイッチを切ることです!
スイッチを切ってみると、一瞬しん、とした時間が
訪れます。ネットの支配から解放され、自由になった
頭脳で得られた情報をじっくりと吟味してみること。
すると自分の考え、意見を持てるようになります。

 テレビやインターネットへの過度の依存から脱却する
ことが「孤独力」をつける第一歩となります。
 テレビやインターネットを断ち切ったとき、私たちの
本当の課題はそこから始まります。

 かつて詩人寺山修二は、「書を捨て 街へ出よう」と
呼びかけました。勉強ばかりしていないで、自分で
行動することを勧めたのです。

 今の社会では、「ネットを切り、街へ出よう」と呼びかける
必要があるかもしれません。

(2016.7.15)