19-3-8小さな訪れF6
 憧れ 

部下がなかなか思うように動いてくれない、という
声が聞かれます。春を迎えて新入社員を迎える、という職場も多いのではないでしょうか。
今回は上司が部下とのいい関係を作る、というテーマを考えてみます。

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部下世代は、概ね20代~30代前半と想定します。
いわゆる「ゆとり世代」が中心で、組織よりも個人を優先
する、という価値観です。アニメ漫画の「ワンピース」世代と呼ばれることもあります。
主人公ルフィが宝を求めて仲間と共に世界を冒険する物語
です。
「俺はおめエたちが助けてくれねエと生きていけねエ自信が
ある」、という仲間を大事にするリーダーです。

一方上司世代は、概ね40代~50代でしょうか。
アニメ漫画で「ガンダム」世代と呼ばれることもあります。
こちらは組織の秩序を重んじ、上下関係を重視するタテ型社会の価値観です。
個人を犠牲にしてまで組織を優先する傾向があります。

ステレオタイプな世代論に捉われる必要はありませんが、
上司としては、部下といえども多様な価値観を持っている、という認識を忘れてはいけません。

部下という社員をひとりの個人としてしっかり認めることから始めます。
コツは「部下を上下関係でみない」ことです。
社員の能力を引き出し、組織の業績向上に繋げることが管理者である上司の仕事なのですから。

「上下関係でみない」とはどういうことか。
具体的には、次のような態度を取ることです。

1)部下に向き合う。
部下は価値観は自分と少し違うかもしれないが、それでも構わない、と受け止めます。部下も人として悩みもあれば能力もちゃんと持っているのですから。
あなたは上司として部下にしっかり向き合って下さい。
やがていい関係が生まれます。信頼関係が築かれるからです。
向き合うためには、まず部下を一個の「ひと」として関心をもって接することです。個性をしっかり見てあげることが大事です。意外な「強み」が見つかるかもしれません。
相手の目を見てしっかり「聴く」ことから始めて下さい。

2)部下育成は上司の仕事
部下の強みを活かし、育てて実績を上げるのをサポートするのが管理職であるあなたの仕事です。部下は組織の大事な戦力です。部下の能力を伸ばし、成長させるのは上司であるあなたの大事な仕事です。
部下には様々な能力を備えているはずです。目標を達成するために必要な能力は、ひとつとは限りません。
自信を失っている部下を励まして、自分で得意なやり方を見つけ、伸ばしてやることです。
部下育成に必要なスキルは、いい質問をすることです。「質問力」を伸ばしましょう。

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部下を上下関係でみないで、ひとりの個人としてみることは、ちょっと訓練すればできるものです。むしろ管理職として組織を動かすために必要なコミュニケーション能力のひとつである、と考えて下さい。

管理職は威張っていないといけない、というのは誤解です。確かにひとを動かすにはある種の権威が必要です。しかし上司という権威だけに頼ってひとを動かそうとしても、うまくいきません。ひとを本当に動かすのは命令ではなく、本人の心からの納得感なのですから。

時間はかかるかもしれませんが、しっかり部下と向き合うこと。それを可能とするものは管理者自身の懐の深い「人間力」なのでしょう。

責任感を持ち、部下をしっかり支えてくれる上司に対し、リスペクトしない部下がいるはずはありません。

(2019.3.30)

参考:
『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』 
鈴木貴博 2011年 朝日新聞出版