今年のニュースのなかで最も印象に残る
ひとりの人物がいます。尾畑春夫さん。
山中で迷子になった2歳の子供の捜索で
全国中に不安が広がっているときでした。
忽然と現れて、わずか30分で救出して
一躍脚光を浴びました。
聞けば「人の命は地球より重い」をモットー
に、ボランティア活動で全国を飛び回って
いる方だそうです。
満面の笑顔を見せる元気な78歳。
この青空のような「善」は、一体どこから
来るものなのだろうか、と思いました。
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被災地で子供たちからお礼の絵をプレゼント
されて喜ぶ尾畑さんの姿。
ある老夫婦から来た礼状を読みながら、被災
した自分たちよりも、自宅のある大分に戻る
尾畑さんを気遣う下りで絶句してしまう姿。
どうやら、ひととの繋がりや、被災した人々が
尾畑さんに見せる笑顔が、彼の行動のエネルギー
になっているらしいのです。
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謝礼は一切受け取らない尾畑さんにとって、
お金や名誉より大事なものがあり、その目的の
ために生きているように見えます。
善、とはそんなものか、と得心します。
誰かの役に立つこと。誰かを喜ばし、笑顔に
すること。
たったそれだけのことが、どれだけ人を幸福
にすることか。
尾畑さんのお陰で、改めて気づきます。
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善を行うことを、何か難しいことのように考え
なくていいのだな、と思います。
出来ないことを無理してすることはないのです。
自分に出来る範囲のことを、誰かのためにする。
それはひょっとすると、他の誰でもない自分にしか
出来ないことなのかもしれません。
それが出来て、誰かが笑顔になってくれたら、
きっと自分も幸福な気持ちになることでしょう。
尾畑さんのようなスーパー「聖人」にはなれない
けれども、身の丈範囲で小さな「善」が出来たら
上出来ではないでしょうか。
(2018.12.13)