
米国の大統領選挙をきっかけにしてネット上に
蔓延するフェイクニュースが問題になっています。
ネットなどで得られた情報を鵜呑みにしてしまう
人々が大勢おり、事実でない事柄が「事実」として
世になかに拡散していくのです。
ひとは簡単に「思い込み」の罠に嵌ってしまう
ようです。そこにフェイクニュースが付け入る余地
が大きく口を開けて待ち構えています。
ネット時代である現代、私たちはついスマホに
答えを求めてしまいがちです。 おいしい街の
レストランを探す、面白い映画を探す、ある場所に
行くのに何時の電車に乗ればいいのか・・・。
すべてスマホが簡単に答えを出してくれます。
ひとが自分の体や頭脳を使って調べたり考える
代わりに、小さな情報機器が全部やってくれるの
です。スマホなどの情報機器は人間の頭脳の
外部化であるという学者もいるほどです。
便利ですが、しかしこれでは人間の頭脳の思考
力が低下してしまうのではないかと心配になって
しまいます。
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スマホやインターネットへの過度の依存を断ち
切り、フェイクニュースを見破り、「思い込み」を
排除するには、思考する力、つまり思考力を鍛え
なおすことしかないと思います。
人間は日々色々な情報に接しながら様々な判断
を下しています。しかし、その判断は果たしてどれ
くらい正しいでしょうか。 思考する、とは常に自分を
疑い正しいかどうかを自らに問いかける知的な作業
です。
いい意味で「疑う」ことです。自分自身を。私の判断
はひょっとすると間違いかもしれない・・・、と一歩踏み
留まる謙虚さが大事です。
すると自分以外の他者や周囲の状況にも見回す
ユトリが生まれて客観的な視点にたどり着くことが
できるのです。
謙虚さは慎重な思考を産み、慎重な思考は正しい
結論に導きます。思考力を鍛える第一歩は「疑う」
ということではないでしょうか。
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「我れ思う、故に我れあり」というあの有名なデカルト
の箴言。「私は考える、だから私は存在する」
ということだそうです。思考とは人間という存在にとって
本質的に不可欠なことなのでしょう。
人間とチンパンジーのDNAは98.8%同じだそうです。
1.2%の違いとはコミュニケーションする力、言語力
です。ネットなどの電子機器は非常に便利であり、
現代生活に不可欠なものになっています。
しかし、言語を使って高度な判断をする=考える能力
を安易に電子機器に譲り渡してはいけないと思います。
フェイクニュース蔓延は、ひとの思考力の低下に
対する警鐘とも言えるでしょう。
(2018.3.24)