心地よい居場所(税所彰のコーチングエッセイ)

私はコーチングの講師。高齢化社会で心地よい居場所を探しながらエッセイを綴っています。働き方・人材育成のこと、世の中との付き合い方などについて考えを深めたい方、年齢に関係なくヒントになれば幸いです。                                  

2018年01月

「豊かな老後」3つの条件

18-1水色の季節

 「老後を豊かに過ごしたい」というのは、定年退職者
にとっての一大テーマです。しかも人生100年時代と
言われる今日、これは現役のサラリーマンにとっても
他人事ではなく、早晩考えておくべき課題でしょう。

 「豊かな老後生活」を送るための3つの条件
というものを考えてみました。

1、好きなことを仕事とすること
2、上質の人間関係を持つこと
3、ポリシーを持つこと

 以下にひとつづつ取り上げてみたいと思います。

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

<1、好きなことを仕事にすること>
 好きなことを仕事にして、できれば年収2百万円以上稼ぐ
ことです。定年後でもまだ仕事?と不満な声があがりそう
ですね。
 長寿時代の今日、年金だけに頼る生活設計はリスクが
高すぎます。せっかく会社人生から自由なったのですから、
ここは独立自営の仕事を見つけたいものです。

 なによりも仕事は老後生活の経済基盤を安定させて
くれます。それに加えて、仕事を通じて社会に役立つ
ことができ、精神的にも安定するのです。「生きがい」
ですね。
 与えられた才能を生涯でフルに活かし切り、世の中に
貢献できれば素晴らしい「豊かな」人生と言えるでしょう。

 老後の仕事とは、「お金儲け」ではありません。相手を
思いやり、サービスを提供し、対価を得、感謝する、
という心と心の交感であると思います。
焦らずにゆっくりと時間を掛けながら、好きなことを
仕事に変えていくことが大切です。

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<2、上質な人間関係を持つこと>
 豊かな老後、とは幸福感です。幸福の条件とは
何でしょうか?
 ハーバード大学で実施された高齢者たちの長期の
研究調査によれば、最も元気で幸福な老人たちの
共通点は「上質の人間関係」だったそうです。

 老人の孤立や孤独死が社会問題になっています。
会社組織を離れた途端、組織人はひとりの個人に
戻ります。老後に「上質の人間関係」を築き上げる
ためには、一定のコミュニケーション能力を身につける
ことが大事です。

 私たち日本人は、特に男性はコミュニケーション能力
は決して高いとは言えません。企業はせめて50代の
うちに定年前研修の一環として、コミュニケーション
訓練を取り入れるべきではないでしょうか。

 老年期を豊かにするには、まず夫婦、家族、そして
友人たちとの関係を安定したものにすることです。
そしてぜひ新しい友人や仲間を作っていきましょう。
それはあなたの心を外に向かって開き、新しいことに
チャレンジすることを可能にするのです。

 心おきなく語れる友人、年齢に関係なく付き合える
人々が周囲にいてくれることは、あなたの人生を
間違いなく豊かなものにしてくれるでしょう。
そのための武器がコミュニケーション能力なの
です。

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<3、ポリシーを持つこと>
 定年後には誰でも孤独感を味わいます。長年勤めた
会社を離れてみて初めて感じる疎外感・・・。
でもひとは基本的に孤独な存在です。自分の人生は
誰のものでもない自分だけのものだ、と悟るとき、孤独
は決して悪いことではないことに気づくでしょう。

 自らの足でしっかりと大地を踏みしめて立つこと。
つまり自立心を持って生きることが人生の基本です。
特に定年後にはひとりの個人に戻る訳ですから、より
強い自立心が求められるのです。

 自立心を強化する方法のひとつが、自分なりの
ポリシーを持つ、ということなのです。
ポリシーとは生きる指針のことです。
価値観、人生観、世界観、志・・・などと言い換えても
いいでしょう。
誰か著名人の名言でも構いません。大事なのは、
自分の腑にストンと落ちる言葉であることです。

 「ひとのために尽くす」、などもいいですが、
もっと具体的に何をするかに踏み込んだほうが
明確な指針となります。

 自らの長所や欠点をしっかり認め、人生の経験者
としての人生観なり世界観を踏まえたポリシーを
備えれば、それがぶれない自分軸となるのです。

 孤独を恐れず、与えられた人生を静かに受け入れ
て前に進む強い精神力の持ち主を、賢者と呼んでも
よいでしょう。
 ポリシーを持つことで、自分らしい一貫した姿勢を
とることができます。毅然とした生き方は周囲の人々
に良い影響を与え、ただの老人ではなく、賢者として
尊敬を集める存在となりましょう。

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 有名な「幸福論」の著者ヒルティは、「仕事を通して
社会に役立てる人生を生きよう」、と述べています。
生涯現役で生きられるとしたら、それは素晴らしい
人生だと思います。

 「豊かな老後」のイメージはひとによって異なること
でしょう。上記に掲げた条件を参考にして自分らしい
豊かさを構想して頂ければ幸いです。

(2018年1月25日)

「歩く」という基本

17-11-1午後の舗道F4

 K市の中央図書館に行く用があり、天気が
いいので歩いて行くことにしました。
 家から図書館までの距離は4キロくらい
あり、普段はバスか自転車で行くことが
多いのです。

 歩くと町の様子が身近に感じ取れます。
シニアのカップルをよく目にするように
なった、冬休みなので高校生たちが街に
溢れている・・・。

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 実は私にはこの街を歩く密かな楽しみが
あります。歴史好きの私の頭には城下町
だったこの街の地図が大体頭に入って
いるので、歩きながら往時の情景を空想
しているのです。・・・妄想ですね。
ほとんど。

 これから行く図書館は江戸時代なら城の
すぐ南側にあった武家屋敷があった地域
です。
江戸に向かう街道沿いは、今は百貨店が
ある商業の中心地になっていますが、
往時は足軽組の組屋敷が連なっていた
地域で、「三番街」という地名に名残りが
あります。

 「松郷(まつごう)」は今は「松江町」と呼ば
れていますが、昔は「郷」分、つまり農村
だった地域です。
大正ロマン通りから「鉄炮町」通りを右折
します。北条時代に、鍛冶大工が鉄砲など
の武器を製造していた通りです。

 こうして私は街歩きをしながら、頭の中
では江戸時代の街歩きを楽しんでいる、と
いう訳です。

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 超高齢社会というこれからの社会では、
「コンパクトシティー」という歩いて回れる
範囲の都市づくりが脚光を浴びることと
なりそうです。

 そこでは車は時速10キロに制限されて
いて、完全に歩行者優先のルールが
徹底されるのです。市民にとって住み
やすい街となることでしょう。

 車や自転車は早くて便利です。
しかし環境や健康を考えるとどうでしょうか。
産業社会から高齢社会に移行していく現代
において、もう一度歩くことを基本的な移動
手段として見直す必要があるのではない
でしょうか。

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 江戸時代の人々は1日平均1万5千歩くらい
歩いたそうです。今日の私はせいぜい1万歩
というところでしょうか。
 でもこれからも江戸時代の街並みを妄想し
つつ、自らの足でこの街を歩こうと思います。

 帰りがけは、夕陽が空を美しいオレンジ色に
変えているところでした。冬至を過ぎて、日が
少しづつ陽が伸びてきている・・・
 そんな自然の営みのに気づけるのも、歩く
ことの楽しい余沢です。

(2018年1月5日)

プロフィール

税所写真2 (2)









税所 彰(さいしょ あきら)
ユニシスジャパン管理部長、沖ユニシス監査役、ガンブロ㈱CFO、㈱フォス・ジャパンCFOなど歴任。

長年企業で経営改革と人材育成に取り組む。組織活性を導く実践的経営を研究

企業人事と経営に長年取り組んだ経験から、ひとの能力を伸ばし、組織をまとめて成果を上げる経営管理者の良きコーチとなることをライフワークにしている。
趣味は水彩画。
一橋大学社会学部卒。マンハッタンカレッジ経営大学院(米国)MBA、法政大学大学院キャリアデザイン学修士課程修了。
妻とふたり暮らしです。埼玉県川越市在住