17-3喜多院境内

吉田兼好の「徒然草」を読んでいます。
高校生の頃読んだ覚えがありますが、人生の古老の言
という遠い印象でした。しかし兼好法師と同じ老境に
差し掛かった現在読み返すと、また新鮮な発見があります。

例えば、百五十五段の次の文章。

必ず果たし遂げんと思はむことは 機嫌をいふべからず

時はひとを待ってくれません。成し遂げたいことがあるなら
機嫌(タイミング)を待つのでなく、今すぐにやってしまうべきだ
というのです。

目標を立ててもなかなか実行に踏み切れないときがあり
ます。それは本当にやり遂げたいことなのか、まずは
自分に問いかけてみることです。

慎重さは大切です。しかし思いの強さが確認できたら
行動してしまうことです。
行動しているうちに風景が変わり、そこに道が開けるもの
です。

思えばこの言葉、古老どころかドラッカーの言といっても
おかしくない名言ではありませんか。

  ****************

春の一日。天気がいいので川辺りの桜並木でお花見を
しました。桜はちょうど見頃を迎え、川面には花筏が流れて
いきます。
土手にピクニックシートを敷き、持参したお弁当を食べて
いるときでした。一陣の風が吹き、私たちの頭上に桜の花びら
がひらひらと舞い落ちてきました。

とっさにある和歌の一節が頭に浮かびました。うろ覚えだった
ので娘にスマホで調べてもらいました。

桜花散りぬる風の名残りには 水なき空に波の立つらむ

作者は紀貫之。まさに今とぴったりの風情が描写されている
ようで、晴れ晴れした気分を味わうことができました。
平安と現代。時代は遠く隔たっているのに、桜を愛でる
ひとの美意識とは意外に近いものだ、という思いに
打たれます。

  ****************

古典とは過ぎ去った時代を生きた賢人たちが、はるか後世を
生きる私たちのために書き残してくれたメッセージです。
彼らの知恵や美意識がそこに詰められているはずです。

人生を豊かに生きるための知恵や、こ国の美しい自然を
より深く味わう工夫から学ばない手はありません。
古典をひも解くとき、賢人たちに心して向き合おうと
思う次第です。


(2017/4/10)