2015-10-27薔薇(sold)


 あなたの目標は何ですか?
こう質問されると、「大学に入りたい」、「就職したい」、
「結婚したい」、「脱サラして起業したい」、「ダイエトし
てスリムな体になりたい」などと様々な答えが返ってきます。
 目標とは自分の「ありたい姿」です。
人は目標があるとその実現に向けて突き進むのです。

 多くのひとは、自分で立てた目標を自分の力で達成して
いくことが幸福だと感じられるのでしょう。
このタイプを「目標達成型」と呼ぶことにしましょう。

 例えばプロ野球のイチロー選手は「目標達成型」です。
ストイックに努力を重ねて確実に目標を達成していく
イメージがありますね。
新入社員に「まず登る山を決めなさい」と説いた孫正義さん
も、やはりこのタイプでしょう。

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 ところで世の中には、目標は特にありません、と答え
るひともいます。
 人生はプロセスの連続なので、目の前のことで手一杯。
ある目標の達成というよりも、その日その日を充実して
生きることが大切、と考えるのです。心理カウンセラーの
平本相武氏はこれを「価値観型」と名付けています。
 「価値観型」のひとにとっては、「自分らしさ」が大切で、
自分にとって何が大事か?という発想をします。

 「価値観型」の例としては、「一日一生」が座右の銘だと
いう松井秀樹選手がいます。また、「人生は章立てのない
時間の経過」と達観するエッセイストの阿川佐和子さんも
価値観型の典型です。

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 つい最近、チェックリストで自分がどのタイプか調べて
みました。私は今までずっと「目標達成型」だったのです。
ところが結果は意外にも「価値観型」という判定でした。
一体いつ自分のタイプが変わったのだろうと驚きました。

 数年前まで会社でビジネスの世界にどっぷり浸かった生活
をしていました。シビアな競争に明け暮れている経営の世界
では個人の価値観を重視する「価値観型」の余地はなかった
のかもしれません。
 ビジネスから離れた現在のリタイア後の生活の姿に、改め
て気づいた次第です。 

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 押しなべて言うならば、目標達成主義が機能するのはその
国が経済的に拡大しているときではないでしょうか。
 いけいけどんどんで限りなく経済が成長していくときは、
目標も限りなく大きく掲げることができるのです。
 現代の日本は人口が減少し、経済規模も少しづつ縮小する
時代に差し掛かっています。  
 こんな時代には、「価値観型」の生き方が適合的なのかも
しれません。
 
 春を迎えて入社式があちこちで行なわれています。
新入社員の皆さんは、社長さんや上司から「目標を持て」と
はっぱを掛けられていることでしょう。

 目標を持つことは大事なことだと思います。しかし、同時
にどうしてそんな目標を達成したいのか、ということについ
て、自問して考えを深めておくことをお勧めします。
 
 サラリーマン人生を始める皆さんも、いつか会社を離れる
ときに自分の「価値観」が再び目覚めてくるのかもしれま
せんね。



参考図書
「成功するのに目標はいらない」平本相武 こう書房