Rose
晩秋の一日。
フリーマーケットに出店しました。初挑戦で
趣味の水彩画を売ってみようと思います。
O町のモール前の公園。
幸いに暖かな天気で始まりました。

きっかけは、ある先輩画家からのアドバイス
でした。本気で絵に取り組むならば、お金を
払ってでも欲しいという顧客を意識すべきだ、
と言われたのです。

なるほど、と納得しました。確かに趣味で
愉しむ絵でも、もっと上手になりたい気持ちを
持ち続けると、プロの領域に限りなく近づいて
いくのかもしれません。

家内も協力してくれ、フリーマーケットを探したり、
準備を手伝ったりしてくれました。
自分では営業や接客が苦手なので、大いに
心強いことでした。

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たとえ1枚も売れなくとも、余りがっかりしない
ようにしよう、と決めていました。もし1枚でも
売れたら、乾杯だ・・・、と。

さて結果はどうだったか、というと、何と8枚も
売れたのでした!! 自分で言うのも何ですが、
初回にしては上出来ではないでしょうか。

でも、フリーマーケット(略してフリマと呼ぶそうですが)
で大事なのは、品物を売ることはもちろんですが、
お客との会話のやりとりを楽しむこと、だそうです。

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買い物の邪魔にならぬように目立たないように
して店の奥にぼんやりと座っています。
すると、さっき立ち寄った10歳位の女の子がまた
やってきて、絵をつくづく眺めているのです。
声を掛けると、自分のピアノの上に飾りたい、と
いうのです。

高齢の男性が近づいてきて、「俺もそんな絵を
描いてみたいよ」などと話しかけてくれます。
どれも飛び上がりたいほど嬉しい話です。

少し離れたところにキッチンワゴン車が止まって
います。白とエンジのツートンカラーが小粋な
感じだったので、デモの絵の題材にしようと
絵筆をとりました。するとまだ10分も経たない
頃でした。

「その絵、欲しいです」と声を掛けられました。
えっ?・・・一瞬耳を疑いました。
見るとお隣のブースで小物を売っていた娘さん
が絵を覗きこんでいます。
何と、まだ描きかけの絵に注文が入ったのです。
ビギナーズラック、と言いますが、何という幸運な
日なのでしょうか・・・

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リタイア後の趣味に、と思って再開した水彩画
でした。そんな自分の絵をささやかでも評価して
下さる人々がいて、何かウキウキした気持ちに
なりました。

秋の公園の一角で、普段なら通り過ぎるだけの
人たちと会話を楽しみ、物の売り買いを通して
心を通わせる。
準備に大変なこともあったけれど、
そんな苦労を忘れさせるような楽しさが
「フリマ」にはありました。

(2015.11.29)