心地よい居場所(税所彰のコーチングエッセイ)

私はマネジメントの専門コーチ。人口減少というメガトレンドの先に見えてくる新たな「心地よい居場所」を探しながらエッセイを綴っています。コーチング、マネジメント、働き方・人材育成のこと、世の中との付き合い方などについて考えを深めたい方、年齢に関係なくヒントになれば幸いです。                                

マネジャーとチーム(2)

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(2)強いチームの条件
 「チームとは何か」について分かったところで、今回は「強いチーム」について考えてみます。強いチームには共通点があります。まとめると次のような条件です。
①揺るぎない目標があること
②「リアルなチーム」であること
③チームを支えるサポート体制がしっかりしていること

 マネジャーはこれらの要点を抑えることで、「強いチーム」を作ることができるという訳です。以下にひとつづつ解説していきます。

①揺るぎない目標があること
 結束の固い優れたチームでは必ず「揺るぎない目標」がメンバーに共有されています。それはメンバー全員が心から納得し、受け入れている確固とした「目標」なのです。チームの構成員であるメンバーは個性も能力も思考も異なる個人の集団です。放っておくとバラバラになりかねません。メンバーをしっかりとまとめ、チーム一丸とする方法が「目標」を掲げることなのです。

 ここに言う「目標」には3つの意味が含まれています。第一の意味は「ミッション」です。このチームが志向すべき抽象的な目に見えない価値。例えば、「誰にも負けない製品を通して、お客様に最高の満足を与える」、「このサービスを提供して困っている人々を救い、社会に貢献したい」などです。メンバーの心を奮い立たせるようなミッション、「使命感」に訴えるものがいいでしょう。

 「目標」の第二の意味は、「ミッション」を実現するための具体的なゴールです。「売上目標前年比130%」、「画期的な新製品を2年以内に開発する」などがその例です。

 そして第三の意味は、「目標を達成するプロセス」です。メンバーは「目標」を理解しているだけではありません。その達成のプロセスに関しても理解し納得していることが必要なのです。

②「リアルなチーム」であること
 ここにいう「リアルなチーム」とは、第一にメンバーが安定して入れ替わりが少ないこと、第二にメンバーの役割と権限が明確であること、そして第三に目標達成に必要な専門性・知識・技能を備えたメンバーであること、を意味しています。
 安定していてメンバー間の信頼関係が確立し、異質な個性や専門性を持ちながらも協力しあえるメンバーであること。これが第二の条件です。

③チームを支えるサポート体制があること
 サポート体制とは、まずチーム活動に必要なリソース(経営資源、情報、予算など)が与えられること。また、メンバーに対するトレーニング、研修、コーチングが充実していること。そしてメンバーのモチベーションを維持するために公平な評価制度や報奨制度が整備されていることです。
 チームが目標を達成するためには、周囲から多角的なサポートを受ける必要があります。マネジャーはこうしたサポート体制にも目配りしておかねばなりません。

 「強いチーム」になるための条件は他にもありますが、まずは上記の3つの基本条件をしっかり押さえておくことが大切です。どうでしょうか。今まで述べてきたことで、マネジャーとして何をすべきかが朧気ながら見えてきたのではないでしょうか。 次回はいよいよ「マネジャーの役割」について考察したいと思います。
(2021/8/19)

参考
「経営者の役割」チェスター・バーナード 1981年 ダイヤモンド社
「デキるチームの5つの条件」R.ハックマン 2005年 生産性出版

マネジャーとチーム(1)

15-5木陰にて木陰にて

(1)チームとは何か
 マネジャーの役割は、チームをまとめて業績を上げることです。
そのために、まず「チームとは何か」について考えてみます。

チームはグループではない
 「チーム」を理解するために、よく似た「グループ」の概念と比較してみましょう。チームとは、複数の人間が同一の目的に向かって活動する集団です。 一方グループとは、同じ思考、趣味、属性を持つ人々の集団のことで、同好会、クラブ、委員会、同業者組合などがこれに当たります。

 チームの特徴は目標がある所です。その目標を達成するためにメンバーが一致団結してそれぞれの役割を果たします。野球やサッカーなどのスポーツチームは、「勝つ」ことを目的としたチームです。
企業内の部や課といった組織も、「業績を上げる」という目標を達成するチームであると言えます。

チームのパフォーマンス
 もうひとつ。チームとグループの大きな違いがあります。それは、「チームの成果は個人の成果の総和を上回る」ということです。つまり1+1が2以上の成果を生むのがチームというものです。チームのメンバーが自分の仕事・役割に対して個人責任を負うばかりでなく、チームの成果に対する連帯責任を負うところから生まれるマジックなのです。チームメンバーが連帯して働くことを「協働」と言います。

 グループではメンバーは個人責任しか負わないため、「協働」は起こりません。チームとは、人間が協力しあうことで大きな成果を上げることができるのです。

チームとマネジャーの役割
 しかし現実にはどうかというと、これがそう簡単ではありません。下手をすると、チームの成果は個人の総和を下回ることだって大いに起こるのです。チームが本来のチーム力を発揮するかどうかは、マネジャーの力量に掛かっている、と言えるでしょう。メンバーの心をひとつにまとめてチームとしてのパフォーマンスを上げるためには、マネジャーの役割が非常に重要なのです。
 どうすれば強いチームになるのか。マネジャーはチームを動かすためにどうすればいいか、必要な能力は何でしょうか。次回はチームとマネジャーの役割について、更に考えを進めていきます。
(2021/8/18)

ひとを育てるマネジャー

20-4-23枝垂桜の公園しだれ柳の公園


 脱工業化と人口減少が進むなかで、持続可能で豊かな社会を
いかに創造するか。これが日本社会の課題です。求められるのは
新しい仕組みを創り出す力、創造力。今日は企業や社会で「創造
力を備えた人材」をどうやって育成していくか、考えてみたいと
思います。

 新しい時代を創造すること。それはひとりのヒーローだけの力
で成し遂げられるものではありません。明治維新を成し遂げたの
は、坂本龍馬のような天才だけではありませんでした。様々な能力
や個性を持った人材が必要なのです。
 企業に於いて、多様な個性を持つ社員たちをひとつにまとめ、
ひとりひとりの能力を引き出していく所からアイデアと創造が生
まれます。
これを引き出すのが管理職、マネジャーの役目です。


 企業経営者に、貴社の最大の課題は?と聞くと「人材の育成」と
いう答えが返ってきます。しかし現実には日本の人材育成投資は
あまりなされていません。GDP比でいうと0.1%。米国2.1%、
ドイツ1.2%、フランス1.9%と比べても著しく低いのです。

 これから必要なのは、社員の能力を伸ばし、成果に繋げる能力を
持ったマネジャーなのです。
今までのような「ひとを管理する」マネジャーではなく、「ひとを
育てる」マネジャーが求められるのです。
管理職の役割が変わったのです。

(2021.4.27)